2013/03/29

『トビラ』


最初の一歩が一番大変。
『トビラ』

-----ここから-----

目の前には古びたトビラ。
君はそっと、手を掛ける。
かすかに見える赤い光は、
夜明けかそれとも夕焼けか。

目の前にある古びたトビラ、
君は笑って、開け放つ。
かすかに見えた赤い光は、
遠い向こうのどこかへ消えた。

トビラの向こうに続く道。
ただひたすらに続く道。
光はどこにも無いというのに
それでも君はにこやかだった。

トビラの向こうへ続く道へと
一歩踏み出し、振り返る。
「ごめんごめん忘れていたよ」
君は僕へと問いかける

「道の果てには光があると、
僕は信じているけれど。
保障はしない。強制もしない。」
消えた笑顔と差し出された手。

――さあ、君はどうするの?

伸びゆく道が行き着く先など
到底想像できないが、
僕にもかすかに見えたんだ。
遠く輝く一等星が。

君が静かに伸ばす手を、
震えを抑えて握り締め、
無理やり足を突き出すと、
君はにっと笑ったね。

もう遠くに見える古びたトビラ。
きっと戻ることもない。
かすかな光にさらされた、
その向こう側は灰色だった。

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